初期アストゥーリアス 再発によせて ~その3~

この度キングレコードの「NEXUS ROCK LEGEND ARCHIVE COLLECTION」で アストゥーリアスの初期三部作が再発となりました。 奇しくも今年は1st「サークル・イン・ザ・フォレスト」から30年の節目の年。 改めて、この3作について振り返ってみたいと思います。   


クリプトガム・イリュージョン Cryptogam Illusion 1993

1. ディスタンス Distance 

2. クリプトガム・イリュージョン Cryptogam Illusion 

3. アドレセンスィア Adolescencia 

4. ミストラル・アイランド Mistral Island 

5. フェニックス Phoenix 

6. グレイシア Glacier 

7. サイバー・トランスミッション Cyber Transmission 

8. ダンサ・ダス・ボルボレタス Dança Das Borboletas 

9. オ・テンポ・パサ O Tempo Passa


マルチ・プレーヤー大山曜によるプロジェクトユニットのサード。大曲がなくなり、よりミニマムな手法に落ち着いた・・・とはいえ、プログレなので(?)、5~6分台の楽曲が半数を占める。ゲストはお馴染み津田治彦(新月:花本彰は不参加)、桜井和美(AFFLATUS)、上野洋子(ZABADAK:ヴォイスではなくヴォーカル!)に加えて、ピアノ、チェロ、ビオラ、ファゴット奏者を起用。ゲーム音楽っぽい無機質なサウンドと、クラシックの生楽器の融合がさらに進み、後のACOUSTIC ASTURIASへの布石も。自ら最高傑作とする大山曰く、「無人島に1枚持っていくとしたら、本作か「TUBULAR BELLS」で迷う」とか! (奥村裕司氏による作品解説 NEXUSカタログより) 

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 この作品にいたる状況というのは、実はあまり芳しいものではありませんでした。世の中は"小室サウンド"が蔓延し、空前のCDバブルの波が押し寄せる"プログレ冬の時代"。このままのセールスでは打ち切りも視野に、というキングさんからのお達しもありました。それもふまえ、組曲志向ではなくプログレファン以外をもターゲットにすべく、ニューエイジ系の短い作品集として取り組んだものです。"これが最後かも?"という悲壮な覚悟を秘めての制作でした。当時は30年後に再発されるとは夢にも思わず、プログレを聴く人など世の中からいなくなってしまうのではないか、と本気で思っていました。今の状況に改めて感謝ですm(__)m。 


 自分の中に産まれ出た様々な音楽形態のアイデアを具現化した9曲が収められています。実験的なアプローチも多く、マイク・オールドフィールドのフォロワーとしての位置づけをかなり払拭出来たのではと思いっています。 全ては「ダンサ・ダス・ボルボレタス」という曲に集約されており、この曲を作ることが出来たお陰で自分の中で永年フェイバリット作として君臨し、全てをやり遂げた充実感で9年間の休業期間へと突入することになりました。当時は間違いなく、アストゥーリアスの活動そのものを終わらせるつもりだったと思います。 


 1曲目が異常に明るい「ディスタンス」で始まるため、戸惑う方も多かったと思います。その後川越氏が演奏することによって、アコアス、エレアスのライブでの定番曲になりました。ジスモンチの破天荒な楽曲の影響を受けていると思います。

それ以降は静謐なイメージで支配された楽曲が並びます。「クリプトガム・イリュージョン」「ミストラル・アイランド」「グレイシア」といったニューエイジ系ですが、決して癒しのBGMではなく、プログレの精神性を取り入れた独自のインストゥルメンタルを目指したものです。「アドレセンスィア」と共に、後のアコアスの基本路線を明確に打ち出した作風ですね。「アドレセンスィア」は3人による室内楽作品として、プログレッシブ"ロック"からはかけ離れていますが、これはこれでアストゥーリアスなんだと思います。

前作のバンド路線の延長「フェニックス」、最も謎の位置づけである変則的ロックインスト「サイバー・トランスミッション」、初めてにして唯一の歌詞付き楽曲「オ・テンポパサ」とバラエティに富んだ曲が並びます。「サイバー・トランスミッション」は「聲無キ涙」とのメドレーで後年生まれ変わりますが、思いのほかエレアスのサウンドにマッチしていて、やっとちゃんとした居場所を見つけられたと納得しました。 


さて「ダンサ・ダス・ボルボレタス」。オールドフィールドとジスモンチの影響を自分なりに昇華した楽曲に仕上がったと思います。7分弱の中に幾多の素材を詰め込み、静と動を効果的に展開させ、ラストのクライマックスへ導くという、自分なりのプログレ組曲の理想形が出来上がった記念すべき1曲です。今聴いても、何度聴いても胸が熱くなります。この手法を突き詰め「樹霊」というアルバムが作られることになりますが、そこに至るまでに結局15年という月日が経ってしまうことになります。2014年に再発された「樹霊~デラックスエディション」には「ダンサ・ダス・ボルボレタス・2014」というリミックスVersionが収められています。この曲が気に入った方は是非そちらもお聴き下さい。 


いずれにせよこの3rdアルバムは(「ダンサ・ダス・ボルボレタス」1曲?)プログレという括りを逸脱し、より多くの方に聴いていただきたい、アストゥーリアスの分岐点となった記念碑的作品です。     

この三部作をきっかけに、現在のアストゥーリアスの活動に興味を持っていただける方が増えれば、これに勝る喜びはありません。

2018.1.21 大山 曜 


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