エレアス Cruise to the Edge 2017 滞在記 ~その3~

クルーズ2日目

前日ベネズエラの放送局の人がアストゥーリアスの大ファンとのことで、インタビューを申し込まれました。11時に大山&川越&通訳のKさんでその人の部屋に向かいます。熱烈なマニアのようで、ちゃんと調べている(CDをほとんど持っているとのこと)まじめな質問で、日本語英語を交えて受け答えしました。ちゃんと伝わっているかちょっと心配ですが...(改めて英会話の重要性を思い知りました)。ベネズエラは経済状況がよくないそうで、招くことは難しいとのことですか、いつか南米遠征を実現したいと共通の夢を語りました。


昼はプールステージでカーブドエアー。オールドプログレファンならご存知のあのバンドです。ソーニャのVoとダリル・ウェイのViでフォーク&トラッドなイメージですが、個人的にはライブ盤の叫びまくるソーニャさんがつぼです(マキOZに近いイメージを持っています)。近年YouTubeで動いているカーブドエアー(昔の映像)を初めて見たのですが、凄く可愛くセクシーでアイドルのようでびっくりしました(^^)。今はだいぶ貫禄が増していらっしゃいますが、衰えぬ美しく迫力のあるVocal、素晴らしいです。後日エレベーターでご一緒して「マリーアントワネットがフェイバリットです」と伝えると優しく微笑んでくれました。しょっちゅうその辺をうろうろしていて、スター感無く楽しそうに船旅を満喫されていました。プールステージ脇のショップでは各バンドのグッズが売られている。あらかじめ送っておいたうちのCD&DVD&Tシャツ(今回のために制作、近日発売です)も並んでいます。

その後シアターでハケットさんを数曲観戦。ベースのニック・ベッグスはカジャグーグーの人だったと後から知りました(個別のQ&Aコーナーがあった)。じっくり観たかったのですが、17:30から我々の出番があるため途中退席。今日は吹き抜けCentrumで1時間15分のステージです。


撮影等の準備もあり早めに現場に向かいますが、一番セッティングに時間がかかるキーボードが来ていない。本番20分ほど前に到着したキーボードも頼んでいたものと違い、演奏に支障のある鍵盤数の少ないもの→川越さんまっ青。ギターアンプも2つ頼んでいたのが1つしかなく、これでやれ、サウンドチェックも時間がないのですぐ始めろとのこと。。。

海外フェスでこういうことはよくあることなのですが、今回は一段と厳しい状況です。お客さんは既に集まってセッティングを見ているし...。ただこういう場合でも顔に出さず、落ち着いて対処しようと打ち合わせていたので(見られているし)軽く音出ししてとにかく始めることにしました。若干遅れてエレアスのショーの始まりです。

1. 闇からの声

2. Deadlock Triangle           

3. スケルター   

4. 時を支配する人々

5. ハニカムストラクチャー      

6. Double Helix

7. Moondawn

8. Tangram Paradox

9. Medusa

10. アーガス最後の戦い  

11. サラマンダー

この日の選曲、人が行き交う場所で静かな曲は不利ということで、アップテンポの曲が多いセットリストになっています。このCentrumという会場、ステージは狭くギリギリ、4Fフロワーもお客さんが胡坐をかいて2~30人取り巻いている感じ。前回と近いですが、4F~11Fまで、エレベーター内も含め360度どこからでも観られるのが売りです。船内どこに移動するにもここを通る必要があり、どんどんお客さんが足を止め集まってくるのが分かります。たぶん知名度的に下の方の我々にとってはうってつけの場所、音響はイマイチですが全力でパフォーマンス(特にテイさんは生き生きと生まれ変わったよう!)曲が終わる度、拍手と大歓声の嵐。最後の曲が終わると、大勢がステージに駆けつけてくれて握手&サイン攻め、いつも通りの海外公演の反応で大好評だったようです。

無事終わり11Fビュッフェで打ち上げをしていると、今回の旅の最重要人物、Spock's Beardのキーボーディスト奥本亮さんが加わってくれました。Spock's Beardに日本人がいるということを事前に知り、その経歴に驚き(オフィシャルサイト参照)facebookでご挨拶はしていましたが、前日に初対面。我々のステージを奥さんと見に来てくれました。19歳でクリエーションに加入、日本の音楽界にいやけがさしロスへ移住。その後世界を股に活躍する一流セッションミュージシャンとなった方ですが、なんとも気さくな面白いオジサンです(失礼!)。

とにかくいろいろなことを語ってくれて、それも我々のような閉鎖的?な人間(とかく日本のプログレミュージシャンは自分の視点でしか音楽に向き合わない傾向があります。我々は特にそうかも)に対してもオープンに自分の思いのたけを表現し、様々なアドバイスをしてくれました。

日本のミュージシャンにありがちな控え目なステージングでは、お客さんに印象を残すことは難しい(翌々日の奥本さんのパフォーマンスを見ればわかる通り)、居並ぶフェスの強豪達の中では、自分達の印象を強く残した者のみが生き残れる、ということを改めて思い知らされました。海外の一流ミュージシャン達の中でもまれてきた人の言葉には重みがあります。

もうひとつはこうしたフェスでの心構え。この日のセッティングトラブルも見てくれていて、あのように自分達が満足出来ない状態では演奏してはいけないという苦言。もちろんタイムテーブルがあるので進行には従わなければいけないが、だったら事前に確認・準備を怠るな、ということ。奥本さんはいつも準備に徹底的に時間をかけ、それも今回専任のPAエンジニアを同行(M・ポートノイバンド、N・モーズバンドとSpock'sが同じ一流エンジニア。皆同じプールステージで入念なチェック済みの素晴らしい音でした)完璧な状況を自ら作り出すというプロ中のプロの姿勢はとても勉強になりました。

フィル・コリンズとのレコーディングの話や、クリス・スクワイア本人からいきなり電話がかかってきた話、J・アンダーソン&J・L・ポンティの誘いがスケジュールの都合で受けられず悔しがった話などなど・・・、異次元の世界の話の連続に大いに場は盛り上がりました(^^)。明日Spock'sのステージがありますが(コスメル島上陸中)それには来ないでいいから島で見聞を広めなさい、と優しい先輩の言葉をもらいこの会はお開き。奥本さん明日頑張って下さいね!

その後イエスの後半ステージに。「ドラマ」の曲(?スミマセン、あまり聴き込んでないです・・・)をフィーチャーしたプログラム。なんとドラムがアラン・ホワイトではない・・・と思っていると途中から登場(頭はアランさんだったみたい)。フルで叩くのは体力的に難しい?のか若いドラマーが同行しているようです。全盛期の演奏を知っている者からすると寂しい限りですが、来てくれるだけで良しとしましょう。アンコールはエイジアの「Heat of the Moment」J・ウエットン追悼ですね。それまでクリスさんの代役を完璧にこなしていたB・シャーウッド、曲を知らないの?ちょっと微妙でしたがこれはご愛嬌。のちほど日本人女性Kさん(プログレサイトにいろいろ関わっていて顔の広いお方)からビリーさんをご紹介いただきDVDもお渡し出来ました。

その後プールステージに移動しスティックメン。「太陽と旋律パートⅡ」を演ったり貫禄のステージ。2人のスティックが複雑に絡み合って何が何やら、音の万華鏡です。平田さんも衝撃を受けステラのサウンドに役立つヒントを何か掴んだような・・・。


気がつけば深夜12時を過ぎています。本当は寝たいところですが、前回いろいろお世話になったイギリスのバンドIO Earthのシアターステージが12時から予定されているので慌てて移動。

我々2度目のCTTE参加となりますが、20以上いるバンドの会場の割り当ては、いつもある程度納得の配置です。今回も大会場シアターはイエス、カンサス、ハケットのほかP・モラーツ、カーブドエアー、HAKEN(ヘイケンと読む、なんか人気らしいけれど知りませんでした)といった観客動員が見込めるビッグネームと決まっています。そんな中、2009年デビューの新進バンド(我々の前年RoSfestに出演)がシアターに出るというのは大抜擢と言っていいと思います。どんなステージを見せてくれるか、へとへとでしたが応援の意味もあって足を運びました。

12時をとうに過ぎていますが、全く開場の気配すらありません。お客さんも待ちくたびれて帰ってしまっているような...。1時間ほど遅れてやっと開演しました。数えてみたけれど3割ぐらい?の入り、待たせ過ぎで残念です。どうやら念願のシアターでライブレコーディング(撮影も?)をするらしくその準備もあって時間がかかったようですね。抜群のスター性&歌唱力ある女性Vocalをフロントに、管楽器も加えた7人編成、シンフォニックな王道プログレが展開され、素晴らしいステージでした。このIO Earth、4年連続でのCTTE出演、リーダーのデイブはとにかく営業上手?なのか関係者と幅広く深く交流し、SNSもうまく使った戦略でバンドの知名度を広めています。きっとシアター出演に関しても並々ならぬ主催者への働きかけがあったと想像します。翌日ご挨拶し、シアターでの演奏を祝福しましたが、英語が出来ればそういうバンド運営に関してもいろいろ聞きたかったところです。


長い1日が終わりましたが、実はこの日もうひとつ事件が起きていました。。。(ごく一部の人しかしらないことです)

前回のCTTEもそうだったのですが、バンドの出演日程というのは直前まで決まらず、始まってから変更ということもよくあります。一応エレアスの出演は2日目Centrumと4日目Colony Clubで、会場の広さ・環境も想像つくので、いかに通りすがりのお客さんの足を止めるかということに留意したプログラムを用意していました。ある意味(前回とほぼ同じと)気楽に構えていました。

フェスが始まっても3・4日目のスケジュールは出ていなかったのですが、たまたま私の部屋に早く配達されていたスケジュール表を眺めていると、4日目のエレアスの会場がシアターに変更になっているではありませんか!!!どういうこと?前述したようにシアター出演は限られたバンドのみ。J・ウエットンが直前に亡くなり、Focusも助っ人ギタリストで不十分な状態のせいか(それにしてもアメリカでのFocusの立場がこんなに低いのはどうして?)シアター出演者が足りなくなったのかも?主催者のラリーさんがうちこそがシアターに見合う音楽性と見込んで大抜擢してくれたんだ!と感極まり、永年の苦労が報われたとひとり感涙にむせびました(T_T)。慌ててKさんに電話すると「それは凄い、おめでとう!とりあえず明日確認にいきましょう」ということに。みんなにも知らせようと思ったのですが、今この話を聞いたら皆興奮してこれから練習するとか言い出しかねません・・・ひとまず今晩は内緒にしてゆっくり寝かせようということになりました。ひとり最終日のシアターでの演奏に想いを膨らませ(封印した静かな曲「ウンディーネ」を追加しようとか、MCは誰に頼もうとか)幸せな眠りについたのでした。

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